カモメいろの骨

カモメいろの骨
見慣れていた、白い骨格

やわらかいクリーム色の、生きていたころは、赤茶色の筋肉をまとっていた跡や、骨とふれていた滑らかな関節

ざらり、と何故かつややかなその表面

どこかで波のかえす音がする


ぼくの手の中で腕とも足ともつかない骨が重みもなく

どこからか 海のにおい

人指し指で親指で右手でぼくは椎骨を 順番通りに並べていた

鯨か人か鼠か ぼくには分からないけれど、憧憬を重ねながら、それが正しく並んでいるのがぼくにはわかっていた

生きるための その順番

ぼくは膝の先で白い骨を並べて行く

同じように ぼくのなかに、並んでいるのだと 

骨は白い小島のように浮かんで見えた

ぼくは海の上に浮かんでいる
そして夜がきて次は
ぼくの骨格を映し出すのだ



どこかの海の上で
ぼくの骨は揺れている

name
email
url
comment