飛んでいけと誰かが言った

飛んでいけと誰かが言った
飛んでいけ、と誰かが言った


彼女の指はうつくしく、いつも星をなぞっては、ひそんだ嘘を指差した

そうすると夜空は驚くほど静かになって、ただの暗闇に成り下がる


飛んでいけ、と彼女が言った


つけられた名前はきっと
結ばれた星もきっと嘘だよ、と

光が夜に落ちて星になるなら
夜を泳ぐ蛍のように並ばずに名前などなく

飛んでいけばいいよ、と


そしてただの夜空になる

そんな嘘

飛んでいけ、と僕が言った

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