忘却の代償は非忘却

忘却の代償は非忘却
我ながら馬鹿だなと思う

傷口に火をつけるのだ、自ら。

たくさんのものが繰り返しめぐって、わたしの中の思い出をなぞるだろう


いつまでもあの人混みの中に背中を探すことをやめられないだろう

わたしは今から私に贈られ、渡され、かけられる言葉のほとんどを、たったひとつの法則で変換する


泣きたくなるのは ひどく愛しい背中を知っているからだろう

けれど、泣きたくなるまま動かないのは、私の愚かさでしかない


それでもわたしは
涙をこらえることを覚えて、ひとりを忘れないことを手に入れた

愚かを続けていくことを決めたのだ

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