昇る朝を待った

昇る朝を待った
名前は?って聞かれたとき、
声にならなかった。
言えなかった。

私の名前を言うのならこんなに簡単で
誰かのことを呼ぶのも
そんなに難しいことじゃあないのに


音を並べれば名前になる
それが恐ろしかった


誰にも言わなかったあの背中の名前を、
やっぱりわたしは言えなかった


いつか口に出して音にすることができたら、
わたしは誰かの手を取れるのかな

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