本と罵倒

本と罵倒
大好きな本があって、楽しみにしていた本があって、すごく読みたくて読みはじめて、


聞こえはじめた罵倒が、色んなものを塗りつぶした

声や、音や、罵声や、怒鳴り声と、雑言と悪態と薄っぺらい呪いと子供じみた暴虐を大声で振り回される

その意味はないのだとわたしは知っているけれど

だれかの死を願う切実さをわたしはわざわざ手に入れにきたのか


暴言が飛び交う夜は、絵を描かない。大事な本は読まない。

ただ疎ましい侵略が寝静まるのを待つ。

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