道化師は黒

道化師は黒
呼べよ、って馬鹿じゃないの、と思った


そんなに思ってどうするんだ
そんなにまっすぐ言って、きみは何を私に許すの
許してくれた気になっているの


私がどうしようもなく踞って泣きたくなって、声にならないとき、

きみを呼んで私は、何をきみに求めればいいと思うの


心の中で、時に口に出して慟哭の中で呼ぶ名前は、きみの名前なんかじゃないのに


それでも自分を呼べと言うなら、それは残酷やきみのわがままだ


私はきみの言葉が哀しかったし、愚かだとさえ思った

そう言わせた私自身の弱さがひどく悔しかった


絶対に絶対に呼ばないけれど、私ときみの愚かを、覚えておく。

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