水槽飼育

君に触りたいという つよい欲

アクリルの向こう 君は歪んで沈んでいる
同じしくみの肺で呼吸をしているはず同じような血液で 君は生きているはず
なのに

わたしと、君と

共通の細胞は 同じような体温と同じような感触を作っている
似たようなところでしか わたしも君も生きていけないはずでしょう

おんなじ濃度の酸素でうごく おんなじ心臓

どうしようもなく正しいでしょう

君に触りたいという つよい欲

しゃくりあげるまで泣いた後にそれでも絞り出す言葉と酸素
みたいな 切実さで 君に触りたいんだよ それは 皮膚を溶かしてってこと

泣いてやる
ちがう生きものになるまでね

_

ちがう世界に住んでる、ってことではなく
同じだからこその絶望とか
ちがうか

私は水槽の中にかえりたい、と思うことがあります

そこから産まれたわけではないけど
陸で酸素を吸いながら、溺れるが怖いなとハッとしながら昔から生きていて

前世とかがあるなら、淡水で溺れて死んだのかなと思ったりします。
どうしようもなくある水辺への憧れと恐怖。
それは努力ではどうにもならない
生存可能な環境でないという敗北なのかな。

もやもやもやもやしながら生きてます
モヤッ
靄ってきれいな漢字だな。

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