(untitled)

知らないところで時間は進んでいて
取り残されたみたいに泣いたことがある

真っ暗な夜に防波堤に登って
ふらついたら落ちるのは海だった

波の音よりもテトラポットや防波堤にあたる風の音の方が大きかった

いつもみている星の周りにもっと小さな星がたくさん見えて、北極星はいつもよりずっと水平線に近いところにあった

ちゃんと毎日を生きても 時間が動いていないことがある 動いている場所もある そのちぐはぐに指先が戸惑う

10年経って、あのとき良かったなって思いたくないなと思った

それくらい星は美しくて、風は冷たかったし、世界は夜だった。

-

そう言ったら、わかるよ、うまく言えないけど、わかるよ、って言ってくれた人がいて、良かったなぁと思った。

今美しいこととかかけがえのないことが時間をかけて美しくなってしまわないといいなと思う。感じられないほど美しくなってほしくないなと思う。


きれいな海と空をみたので。

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